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増田俊男氏「極秘帰国」債権者ら「サンラ・ワールド社」へ押しかける

巨額の出資金集めをめぐるトラブルで、訴訟や刑事告訴が相次いでる自称評論家の増田俊男氏が、19日夕方に避難先のハワイから極秘裏に帰国していた。妻の江尻眞理子氏をともなって成田に降り立った増田氏は、帰国を事前に察知して、空港で待ちかまえていた報道記者から取材を受ける一幕もあった。

Sunra081120a_2  帰国翌日の20日には、増田氏と江尻氏が経営する『サンラ・ワールド社』(豊島区高松)へ、和解金を不払いにされた債権者らが押しかける騒ぎが起きている。同時刻には、返金を求めるほかの高額出資者との面談のため、増田氏と江尻氏は帝国ホテル事務所へ出向いており不在。債権者ら抗議には、海外事業部(サービスセンター)の女性幹部社員が対応した。

「どこの方ですか! 名刺をください!!」

Sunra081120b 債権者らに同行取材した報道記者に向かって、女性幹部は鬼気迫る形相でつめ寄る。報道記者が名刺を差し出すと、女性幹部が返したのは〝手書きのメモ〟だった。

Sunra081120c サンラ・ワールド社の海外事業部が入居する「コアふくみ高松」という4階建てのマンションには、現在もサンラ・グループの看板が掲げられている。しかし、以前は誇らしげに名を連ねていた外国会社名は、すべて塗りつぶされた。それらの外国会社は、いずれも増田氏とサンラ・ワールド社が、巨額の出資金集めの〝商品〟としてきた投資案件だった。その社名が看板から消されたのは、増田氏やサンラ・ワールド社が、詐欺などの理由で訴訟を起こされるようになってからのことだ。増田氏らは訴訟のなかで、「投資先は、グループ会社ではない。増田や江尻、サンラは無関係」などという主張を繰り返している。看板の修整は、「悪質な証拠隠滅ではないのか」と、債権者らは憤りを隠せない。

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月21日 11時24分

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増田俊男/サンラ・ワールド悪質商法

「サンラ・ワールド社」内部崩壊の兆し

きょう、サンラワールド社員被害対策室というブログが、インターネット上に立ち上げられた。 もぐりファンドの運営をめぐるトラブルをマスメディアに報じられた今年1月以降、『サンラ・ワールド社』経営者の江尻眞理子氏と増田俊男氏は、海外で非難生活をつづけている。 国内に取り残され、飼い殺しにされているサンラ・ワールド社の社員たちのフラストレーションも、いよいよ臨界点に達したのだろう。 会社は、配当金や償還金の支払いができず、出資者から訴訟を山のように起こされ、その和解金も払えないほどの危機的状況にある。それでも、社員たちはウソと知りながら、出資者らへ虚偽の情報を提供しつづけなければならない。警察の捜査やマスメディアの取材、債権者からのクレームなど、さまざまな恐怖にさらされなければならない。ストレスがたまるのも当然だろう。その言論は、たんに経営者への不平や不満をぶちまけるにとどまらず、真実の告発へと向かうことに期待したい。 しかし、その前に、〝パパママ経営〟の独裁的な会社では、すぐに閉鎖に追い込まれるおそれもある。管理者には、がんばってもらいたい。 サンラ社員のブログは、16時現在、はやくもアクセスできなくなった。社員の反乱は、わずか半日で終結してしまったのだろうか。

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月19日 16時6分

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増田俊男/サンラ・ワールド悪質商法

プラスチック製でも「真正拳銃」にしてしまう拳銃捜査の怪

『平成20年上半期の薬物・銃器情勢』(警察庁)によると、今年上半期に全国の警察が押収した拳銃の総数は254丁だった。 拳銃の押収状況は、あいかわらず低迷をつづけているが、警察庁は前年同期にくらべて10丁(4.1パーセント)増加したことを指摘。その理由について、このような分析をくわえている。「平成19年中の暴力団による抗争事件等の発生で、暴力団組織の実態把握の徹底によりけん銃に関する核心情報の収集が図られたほか、社会を震撼させるけん銃を使用した凶悪犯罪が発生したことで、けん銃の危険性が国民の間で広く再認識され、一般人からの届出等が増加したことなどの影響が、現在も継続しているものと考えられる」近年、「社会を震撼させた凶悪な拳銃使用事件」に、ほとんど例外なく暴力団の拳銃が使われていることは事実だ。ところが、今年上半期に「暴力団構成員等」から押収された拳銃は、わずか102丁。押収丁数全体に占める割合は40.2パーセントだった。約6割が「暴力団構成員等」以外(不明を含む)から押収されたわけだが、この構成比率は、かつてならマスメディアが「一般市民に拡がる銃の恐怖」などと騒ぎ立てたに違いない。しかし、凶悪事件に使用されているのは暴力団の拳銃である。その現実にかんがみれば、いかに警察の拳銃捜査が倒錯しているかがわかるはずだ。 「暴力団構成員等」以外から押収された拳銃のうち、真正拳銃は143丁。その半数近くが、以下のような代物だった。 ■旧軍用拳銃-45丁(31.5%) ■プラスチック拳銃等-11丁(7.7%) ■古式銃-6丁(4.2%) このうち旧軍用拳銃について、警察庁はつぎのような定義をもとに統計上の分類をしている。「旧軍用けん銃」とは、けん銃の型式や発見時の状況等から、戦前・戦中に旧日本軍等から支給されていたものを終戦後も放置していた旧式けん銃をいう。主な銃種としては、日本製の南部14年式やベルギー製のブローニング等があり、外国製のものは概ね100年前の型式のものが多い。旧軍の拳銃が犯罪に使用されたのは終戦後のことだ。現在、警察庁の統計にカウントされているのは、従軍者の遺族から警察が〝タナボタ式〟に領置した「遺品」がほとんど。そして古式銃は、おおむね慶応3年(1869年)以前に国内で製造、もしくは外国から伝来したアンティークだ。これも、使用事件に結びつくことは皆無にひとしい。 元軍人のおじいさんの形見も、収集家や博物館が所蔵する20世紀以前に製造された美術品や骨董品も、真正拳銃であることに違いはない。適合実包が入手できたとして、あとは銃のコンディションさえよければ実射はできる。しかし、警察発表をもとに銃器情勢を報道してきたマスメディアは、「プラスチック拳銃」が真正拳銃のカテゴリーに分類されているのか、なぜこれまで疑問に思わなかったのだろうか。プラスチック製では、無改造のまま実弾を撃てるわけがないことぐらい、素人にもわかりそうなものだ。 この「プラスチック製拳銃」の一例が、先月に警視庁組織犯罪対策5課が遊戯銃メーカー『タナカ』(東京都北区)を家宅捜索し、摘発に乗り出した「S&W(スミス・アンド・ウェッソン)M500」のカシオペア・タイプというエアガンだった。低圧ガスを注入し、その圧力で樹脂製のBB(球状)弾を発射するリボルバー型。実銃を模した外観はリアルだが、ABSという耐衝撃性の樹脂で製造されている。構造は、あくまでガス式であって、装薬銃ではない。威力も、市販されている同種のガスガンとかわりなく、無改造では人畜を殺傷する能力はない。 ところが、これを警視庁は押収し、科捜研(科学捜査研究所)で「拳銃と同等の殺傷力がある」と鑑定したのだ。 タナカは、同型M500のペガサス・タイプというガスガンも製造・販売しているが、こちらはおとがめなし。現在も市販されている。双方ともに材質はABS樹脂で、本体の強度にも威力にも差はない。警視庁が、カシオペア・タイプだけを捜査の対象とした理由は、構造の特徴にあった。 従来型のペガサス・タイプは、本体に組み込まれたタンクに注入したガスの噴出圧を利用してBB弾を発射する仕組みなのに対し、カシオペア・タイプは回転式弾装に薬莢型の蓄圧式カートリッジを装てんする方式。その構造が、実銃のリボルバーと酷似している。 YouTube - タナカ M500 カシオペア 今回のM500と類似したケースに、モデルガンの老舗メーカー『国際産業』が製造・販売した「S&W・M29パワーアップマグナム」という蓄圧式カートリッジのガスガンが、'86年に真正拳銃と認定された事件がある。このM29が、今年上半期に押収された「プラスチック製拳銃等」の正体だ。真正拳銃と認定されてから20年あまり経ったいまも、M29パワーアップマグナムはインターネット・オークションなどを利用してマニア間で取り引きされることがあり、警視庁などが捜査情報の提供を呼びかけている。 [警視庁] インターネットオークション利用による違法銃器等販売事件の摘発 M500カシオペア・タイプは、薬莢型カートリッジ後方の中心部を打つM29パワーアップマグナムとは構造が異なる。装薬実包を激発できないように配慮して、バルブを前方から開放する仕組みになっていた。「蓄圧式カートリッジのガスガンはリスキー」という業界の常識がありながら、それを製品化したメーカー側には、脇の甘さがあったのかもしれない。しかし、無改造の製品の摘発に踏み切った警察側のやり方にも疑問がある。 警察発表をそのまま報じるメディアの論調は、さも出荷時の状態のままで殺傷力があるかのように錯覚させる。 金属弾発射で新型エアガンに殺傷能力か 警視庁捜査(産経新聞) - 11月 9日 新型エアガンに殺傷能力か=銃刀法違反容疑で製造会社捜索-800丁押収・警視庁(時事通信) - 11月 9日 新型エアガンに殺傷能力、800丁を警視庁押収(読売新聞) - 11月 9日 エアガンに殺傷力 銃製造会社を捜索 東京(産経新聞) - 11月11日 <新型エアガン>拳銃並み殺傷能力…800丁押収 警視庁(毎日新聞) - 11月10日 だが、「薬きょうの強度を上げ、ガスの代わりに火薬を詰めた場合、金属弾を発射することが可能になり、拳銃と同様の殺傷能力がある」と、警察が発表しているように、実際には無改造で装薬銃として使用することは不可能なのだ。 科捜研は、特製の薬莢や装薬弾を自作したり、激発装置や銃身を補強するなど、「鑑定」の域を超えた〝改造〟を当たり前のように行なう。改造を施したところで、「プラスチック製拳銃等」の性能は実用に値しないし、社会を震撼させる凶悪犯罪に使用されたためしもない。それでも科捜研は、もてる技術の粋を結集して改造に精をだす。無改造で「殺傷力を有する」と鑑定すれば、警察は手軽に「真正拳銃」の押収丁数を増やすことができるからだ。 もとがプラスチック製のオモチャでも、それを不法に改造して殺傷力をもたせたものを所持や売買をする者がいれば、「改造拳銃」として厳しく取り締まるのは警察が果たすべき正義。だが、そのままでは撃てないオモチャを「真正拳銃」と偽るのは詐欺だ。 「プラスチック製拳銃」で押収丁数は増えたが、暴力団の真正拳銃によって死傷者が増加するという、本末転倒な結果をまねくことは避けてもらいたい。ASGKからのお知らせ                       2008年 10月 31日                ASGK 日本遊戯銃協同組合                      理事長 永吉 勝美 (株)タナカ カシオペア製品について  2008年10月8日、ASGK組合員である(株)タナカがお得意様各位として流通業者様宛に1通の文書を配布いたしました。文書には、「銃刀法違反の疑いがあるとの理由で警察の捜査を受けました。」とあり、同社製カシオペアタイプ製品の出荷停止と流通在庫品回収のお願いをいたしております。文書は同社のホームページにも掲載されました。 流通在庫の回収はすでに完了しており、現在はホームページ上の文書はありません。 10月22日当組合事務所におきまして警察の担当の方から、捜査などに関する状況を伺いましたのでご報告いたします。 ( 経緯 )10月7日(火) (株)タナカのカシオペアタイプ製品などが押収されました。10月8日(水) (株)タナカがカシオペアタイプ製品の出荷停止と流通在庫品回収のお願い文書を出しました。10月22日(水)当組合事務所におきまして、警察の担当の方から、捜査などに関する状況を伺いました。 ( 現在の状況 )カシオペアタイプ製品は、火薬を使用できるようにした薬莢をセットすると発火する可能性がある、という問題点につき警察の研究所で検査をおこなっているようです。(株)タナカの社長や従業員は捜査当日に事情聴取を受けましたが、その聴取状況から、7月の発売直後から警察当局はM500タイプの検査をおこなっていたと推測されます。 ( カシオペアタイプ製品が発売されるまでの流れ )本年3月下旬に、(株)タナカ(以下、タナカと略します。)から、組合宛に自主規約の変更を検討してほしいという内容の文書が寄せられ、続いて基本構造図や分解構造図、シリンダー周辺の模型などが送られてきました。通常は、各社が開発を進めている段階において、競争相手でもある他の組合員に対して新製品の特徴や構造を開示することはありません。タナカの新製品の構造は現行の組合自主規約にはない新規のカテゴリーに属するものであって、検査の申請が出来ない状況にありました。検査の申請が出来なければ合格することはなく、したがってASGK証紙も発給することができません。その場合には今回のタナカのように、組合に対して検査規約の変更や新設を申請することが必要となります。しかし規約の変更や新設は総会の決議事項であって、半年単位の時間を要することが多く、実際のビジネスサイクルには追いつかないのが実情です。そのような時は、組合で規約の検討が行われている間、各社は自己の責任においてASGK証紙なしで商品を販売することになります。組合は自主規約にない商品だからといってその発売を止める権限を持っていません。過去に例もなく規約にも想定されていない全く新しいカテゴリーに属する新製品が誕生するときには、このような中間的な状況が発生します。今回のタナカ新製品はその一例であって、当然のことながらASGK証紙は貼ってありません。またASGKというマークは組合の登録商標であって、検査に合格しない商品にASGKの刻印などを付すことは許されません。タナカは金型に彫ってあったASGKの刻印をすべてはずして新製品を発売したと聞いています。それは組合の権利を尊重した正しい行動です。組合員から、規約に載っていない新しい製品の検査規約を制定してほしいという要望があった場合には、ASGKはその新製品が一般消費者の安全を脅かす恐れがないかを検討し、組合員の合意が得られれば新規に検査規約を制定して検査をおこなえるようにします。そして検査合格後にASGK証紙を発給します。法的に問題があることが明らかである製品でない限り、現行の規約にない、という理由だけで新製品の出現を妨げることは許されません。できるかぎり新製品が世に出られるように、ASGKは新規約制定を含め最大限の努力をし、協力をします。安全対策の確立に努めると共に、組合員の自主的な経済活動を促進することが組合の目的です。3月下旬に規約変更の要請があり、次いで模型や図面が送られてきましたので、4月上旬に理事全員が組合事務所に集まりタナカの新製品に関する検討会を開きました。その結果は、現状では自主規約を変更することは難しいのではないか、組合員の合意を得ることは難しいのではないかというものでした。 ( カシオペアタイプ製品の特徴 )カシオペアタイプ製品の特徴は、薬莢型の小型タンクにガスを注入し、外部から力を加えてガスバルブを開放する、蓄圧式カートリッジを使用する拳銃型玩具銃であって、現行のASGK検査規約には載っていない新規のカテゴリーに属する製品である、という点にありました。従いまして検査をおこなうには新規約の制定が必要となります。 ASGKは「エアソフトガン」という商標権を持っている団体であり、文字通りエア(あるいは低圧ガス)の力を使って球状弾を飛ばす玩具銃、遊戯銃、競技銃などを製造する業者が加入している団体です。火薬を使って弾丸を発射する銃は本来的に想定していません。 タナカから送られてきた模型や図面を検討したところ、玩具銃としては新規でとても興味深く、エアガンとしての危険性は感じられませんでした。発想も素晴らしく、基本構造もとても良く研究されていました。蓄圧式カートリッジを使用する玩具銃で注意しなければならないのは、炭酸ガスを注入された場合に危険性はないか、という点です。消費者の安全を考えるときに市場で簡単に入手することができる炭酸ガスは最も注意を払わなければならない相手です。タナカの新規方式はハンマーに係るバネAの力が、本体側に内蔵された部材1に伝わり、次にシリンダーに内蔵された部材2に伝わり、最後にシーソーのような部材3に伝わって力の方向が逆転し、蓄圧式カートリッジの内側のパイプに伝わってバルブを前方から開放する、という構造でした。いくつもの部材を介して力が伝達されるので伝達効率はあまり高くなく、シーソーのような部材3の実質ストロークも3ミリ程度であって、仮に炭酸ガスが注入されたとすると直径6ミリの断面積にかかる力は10kg以上となり、バネAの力だけではバルブの開放ができないことは明らかでした。またカートリッジの容量は小さく、現在流通している134Aガスを使用するとしても準空気銃に該当する危険性はないと感じました。このままでもエアガンとして十分に安全ではないか、という意見を持つ理事もいました。しかし、蓄圧式カートリッジを用いることには言いようのない不安がありました。 ( 蓄圧式カートリッジに関する過去の記憶 )エアガン業界にはコクサイM29事件(昭和61年・1986年)とアサヒM40A1事件(平成6年・1994年)というふたつの苦い記憶が残っています。両方とも蓄圧式カートリッジを用いるものでした。コクサイM29は拳銃型玩具銃で、シリンダーに入れた蓄圧式カートリッジを後方から直接打撃してバルブを開放する方式でした。何の工夫も安全性への配慮もなく、実銃の構造と全く同じで、撃針がカートリッジの後方中心部を直接打撃する銃でした。20年以上前のことです。アサヒM40A1は大型のライフル銃で、鉄製の薬室に入れた蓄圧式カートリッジを前方から打撃してバルブを開放する方式でした。カートリッジを打撃するための太くて長い銃身は可動式でとても重く十分な慣性があり、その銃身を動かすための撃発用スプリングもとても強力でした。カートリッジに炭酸ガスを注入するための別売パーツなども出現してしまい、またその炭酸ガスの圧力に負けずにバルブを開放できるだけの力と構造とを有していたので、エアガンとしても危険なものでした。またその打撃力は22口径の実弾を発射できることが実証されたほどに強力であって、鉄製の薬室は22口径の実弾発射を繰り返しても十分に耐えられるほど丈夫なことが実証されテレビで報道されました。製造者であるアサヒファイヤーアームスは当時ASGKの要職にあり、M40A1を危険と指摘した組合員の反対を押し切って勝手な規約を自ら作り、無理矢理にASGK合格として証紙を貼り、販売してしまった経緯があります。大変残念なことですが、これはASGKの汚点です。しかし現在のASGKには、M40A1の合格強行突破に関わった者はひとりもいません。M40A1関係者はすべてASGKを脱会しています。 M40A1が発売されてから1年以上が経過して、ある小売店が火薬を入れたM40A1用のカートリッジを密造し、売り出すという事件が起きました。これがきっかけとなってM40A1は実銃と認定され回収となりました。 ( タナカ カシオペア製品と、アサヒM40A1との比較 ) コクサイM29と比較することに意味はありません。タナカ方式は撃針部分が本体を貫通する構造ではないので、撃針が薬莢に直接接触することはないからです。蓄圧式カートリッジに前方から力を加えてバルブを開放する方式、と考えると方式的にはアサヒM40A1と似ています。しかし、アサヒM40A1は十分な慣性を有する重い銃身を強力なスプリングで移動させてカートリッジの前方から激突させていますが、タナカ方式では大きな慣性を有する重い部品は存在せず、スプリングの力もM40A1とは比較できないくらいに弱いものです。しかも後方からの力を複数の部品を介して伝達し、最終的にはシーソーのような小さな部材で力の方向を逆転させていますので伝達効率は悪く、とても22口径のような実弾を発火させる力はありません。その点では全く異なります。勿論、タナカ方式は炭酸ガスの圧力を開放する力もありません。では、なぜASGKとして公認することに不安があったのでしょうか? ( 当初のタナカ・カシオペア方式に見られた不安点 ) 蓄圧式カートリッジに前方から力を加えてバルブを開放する方式においては、加える力の性質に注意しなければなりません。大きな打撃力は危険です。M40A1には大きな打撃力がありました。22口径の実弾を発火させ、炭酸ガスの高圧力を開放し、火薬入り密造薬莢を発火させてしまう打撃力です。タナカ方式には22口径の実弾を発火させたり、炭酸ガスの高圧力を開放してしまうような大きな打撃力がないことは明らかでした。 しかし、もしかすると、火薬入り密造薬莢ならば発火させてしまう打撃力があるのかもしれない、という漠然とした言いようのない不安が残りました。火薬入り密造薬莢、というものを見た者はASGKにはいないので、それがどれくらいの力で発火するのかがまったく分かりません。火薬入り薬莢というものを作って実験することは法律で禁止されていますから実験してデータを収集したり分析したりすることも許されません。とにかく数値による確認が取れないのです。組合規約の大半は重さや硬さ、速さ、強さなどの数値で決められています。数値の分からないものを勝手に想像して何らかの判断をして、それに対して良いとか悪いとかを適当に言うことは組合としてはできません。分からないけど、なんとなく不安だからその製品を売るのをやめてください、これも無責任すぎて言えません。企業が数千万円をかけて真剣に研究開発し製造する商品に対して、なんとなく不安だから、は数千万円を廃棄させる理由にはなりません。しかし火薬入り密造薬莢というものが過去に存在したことも事実です。発火性能が数値化できず、構造も想像する以外に理解できない火薬入り密造薬莢を想定して組合の規約を作ることはできません。法的に許可されていない火薬入り薬莢を組合やタナカが作って実験することもできません。どのような力で発火するのか全く分からない、火薬入り密造薬莢というものを相手にタナカはどう立ち向かえば良いのか、組合として公式なアドバイスをタナカに伝えることは不可能でした。 ( タナカに対する提案 ) 組合としては、タナカの新製品を肯定することも否定することもできません。しかし何もしない、という選択肢もありませんので、検討会に集まった理事の抱いた言いようのない不安感を含め、私が個人的な意見を加えてタナカに幾つかの提案をいたしました。 具体的な提案を幾つか示し、それらの提案を参考に、でき得る限り打撃力を弱める努力をしてもらえないか、というのがその内容です。その提案に数値の裏付けはありません。何らかの対策をしておかなければ不安。火薬入り密造薬莢、という数値で捕らえることができないものに対して、とにかく何かしておかなければ不安、それしか伝えようがありませんでした。 ( タナカが当初案に比べて改良を加えた部分 ) 私の個人的な意見を多く含む提案に対して、タナカは真剣に社内会議を開いて対策を考えてくれました。私の提案のほとんどは力の伝達経路に幾つかのクッションを持たせるという、打撃力の低減案に関するものが主でしたが、それらに加えタナカはバルブ開放のストロークが3ミリ以上あったものを限界まで追い込み、実質ストロークを1ミリ近くまで縮めるという改良をした、ということを発売後に聞きました。とても大きな低減効果があったと考えられます。生産直前の時期にあったにも関わらず、タナカはできる限りの努力をしてくれました。 ( ASGK公認は可能か ) しかし、だからといってASGK公認となれるわけではありません。残念ながら、なんとなく不安、という部分が残るからです。 ( なんとなく不安、の正体は何か ) 不安の正体は、火薬入り密造薬莢、というものです。それは自然と生まれてくる訳ではありません。それを作り出す過激な者がどこかにいるのかもしれないのです。 M40A1のときに出現した火薬入り密造薬莢は、ある小売店が営利目的で作ったものでした。数百発を販売していたと当時聞いた記憶があります。悪意のある者は、そのようなものを作って販売すれば社会的な安全が脅かされることを承知で行動してきます。そして彼らは、悪意と共に知識と技術を持っています。 ( タナカはなぜ家宅捜索を受けたのか ) M40A1で発火する火薬入り薬莢を作ることは、実はあまり難しくないのかもしれません。とにかく22口径の実弾を発火させることができたほどの、強力な打撃力を有していたのですから、かなりラフな構造でもよかったのでしょう。 しかし、タナカのカシオペアタイプ製品で発火する火薬入り薬莢を作ることは、かなり難しいのではないでしょうか。もともとM40A1とは比較にならないほど弱い打撃力しかない上に、当初の設計からかなりの改良が加えられ、打撃力は相当低減しているはずです。力の伝達経路にふたつのクッションが加えられ、最終ストロークも3ミリから1ミリ程度へと極めて短くなっています。その厳しい条件下で火薬を発火させることはそれほど容易なことではないように思えます。火薬を発火させることを目的として作られたモデルガンでさえ不発があります。ましてや火薬を発火させないように努力して作られたタナカのエアガンで発火させるのは極めて難しいことなのではないでしょうか。しかし、警察の担当の方から説明を受けましたが、それでも発火する可能性があるとのことです。警察がわざわざそのような発火しやすい薬莢を製作して玩具銃を実銃に仕立て上げるとは考えられません。でも現実にはそのような発火しやすい火薬入り薬莢が警察の手元にはあるようです。M40A1の発売後、1年余りが経過してから火薬入り密造薬莢が登場したのですが、それにははっきりとした営利目的がありました。今回は違います。タナカのカシオペアタイプ製品で発火する火薬入り密造薬莢がどこかで売られたとか、インターネットで売られたとか、あるいは誰かがどこかで見たとか、そのような情報はいっさいありません。つまり、今回の事件は営利目的ではないような気がします。 ( 警察の捜索について )タナカに対しておこなわれた捜索は正しいものだったと思います。しかし安全な玩具銃を作ろうと努力したタナカが罪に問われるかもしれないと考えると、やりきれない気持ちです。今回の件はとても残念なことであり、とても悲しいことです。新しい可能性を持った玩具銃がひとつなくなりました。火薬入りの密造薬莢を入れられても発火できないようにとタナカが企業努力したにもかかわらず、過激な者はその上を行く技術で発火できる薬莢を密造したのでしょうか。前述したような理由でASGK公認は難しかったのですが、業界の方もファンの方も、タナカの新製品を歓迎してくれていました。本当に残念です。 ( 薬莢式のエアガンはすべて危険なのか ) 薬莢がストローのように貫通したパイプ状であって、球状弾をパイプ内部に保持するだけのようなタイプは20年以上の歴史がありますし、世間的にも十分に認知されている玩具銃だと思います。大きな事件を起こしたという記憶もありませんので特に問題はないと考えています。しかし、薬莢に対して何らかの力が外部から加えられて、薬莢の一部が動くようなタイプのものは、十分に気を付ける必要があると思います。今のような状況では、ASGKがそのようなエアガンに対して新たな検査規約を制定して検査をおこない、それを合格と認定することはないでしょう。 以上で報告を終わります。 とても長い文章になってしまいましたが、今回の事件は業界にとって悪夢のような事件であって、簡単な報告書だけでは表しきれないものでした。ASGKは法律を遵守し、常識の範囲において活動をしています。今後新しいコンセプトで遊戯銃を開発するときには、今まで以上に細心の注意と配慮をして対応していかなければならない事をあらためて認識しているところです。この報告書をご覧になって、ご意見などがございましたら、ハガキや封書で組合宛にお送りください。寄せられたご意見に対して返事を差し上げることはできませんが、皆様からのご意見を大切にし、今後の組合活動につなげてゆきたいと考えます。なお組合常勤の事務員は1名しかおりませんので、電話やFAXでのご質問などには十分な対応をとることができません。なるべくハガキや封書をご利用ください。 今後ともASGK日本遊戯銃協同組合を応援してくださいますようお願い申し上げます。

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月17日 12時30分

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警察銃器

やらせ? 首なしの「鉄パイプ銃」が駐車場でみつかる〔奈良県警〕

「自宅にあったけど、怖くなった。駐車場のクルマの下に置いてきた」という匿名の電話をもとに、奈良県警が手製のパイプ式銃を発見したという。 奈良県警の〝押収実績〟となった銃は、きわめて単純な構造の単発式。低レベルの工作技術で製作できる手製銃だ。性能のいい真性拳銃が容易に入手できる暴力団筋では、いまどき改造銃や密造銃は、警察へ〝献上〟する以外に所持する目的がなくなっている。件のパイプ型銃は、奈良県警がお披露目をした現物の映像をみたところ、ひと目で銃だとわかる代物だから、偽装銃としての用もなさない。 この種のパイプ型の手製銃は、過去にマニアが自作して摘発された例もなくはない。しかし、発見された経緯が気になる。匿名電話を捜査の端緒とする拳銃の押収は、90年代の半ばに警察では当たり前の手法だった「首なし」(被疑者不詳)のやらせ押収の典型的なパターンだからだ。鉄パイプを加工した銃が見つかる 〔読売テレビ〕 銃がみつかったのは奈良県大淀町の雇用促進住宅の駐車場で、長さ約39センチ。切断した2本の鉄パイプを組み合わせた上、引き金をつけるなどして作られていた。先月31日、奈良県警に女性の声で電話があり発見された。[11/13 0:09]

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月13日 14時52分

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警察銃器

ビル横山氏「BRONCO」事務所が爆発炎上

12日の昼過ぎ、渋谷区神宮前のビル横山(本名・横山信一)氏の自 宅兼事務所で爆発火災事故が発生した。 横山氏は、ガンエフェクト(撮影用銃器の特殊効果)の第一人者として知られる人物。そのプロップガン(撮影用銃器)に使用する火薬の調合中に起きた事故だったようだ。 私は、銃器指導をさせていただいた『踊る大捜査線・歳末特別警戒スペシャル』(フジテレビ/'97年12月30日) の撮影現場で、ガンエフェクトを担当されていた横山氏と知り合った。テレビや映画のガンエフェクトを手がける一方、日本で唯一となったウエスタンショーを主催する横山氏は、みずからも舞台で曲撃ちを披露される。銃規制の厳しいこの国で、エンターテインメントに欠かせない特殊技能をもった数少ないスペシャリストだけに、今回の事故は残念でならない。一日も早い復帰を願うばかりだ。 事故で亡くなられた横山氏のご家族のご冥福を、心よりお祈りしたい。爆発火災 2人死亡 火薬調合中に 東京・渋谷の住宅街 [毎日新聞] 11月12日17時36分配信 搬送される遺体=東京都渋谷区神宮前で2008年11月12日午後4時12分、梅田麻衣子撮影 12日午後0時半ごろ、東京都渋谷区神宮前3のイベント会社「ブロンコ」経営、横山信一さん(60)方から出火、木造3階建て住宅兼会社事務所を全焼し、隣接する住宅など計8棟約300平方メートルを焼いた。焼け跡から横山さんの妻でパート従業員の洋子さん(55)と母喜代子さん(88)が遺体で見つかった。横山さんも全身やけどで重症。家族2人も負傷し病院に搬送された。横山さんが「(1階で)火薬の調合中に爆発した」と話していることから、警視庁は保有していた火薬が何らかの原因で爆発、出火したとみて調べている。【古関俊樹、山本太一】

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月13日 2時21分

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映画『ポチの告白』待望の全国劇場公開

『ポチの告白』の全国劇場公開が、来年1月に決まったという。 タイトルからイメージする、ほのぼのとした映画ではない。日本警察の闇を鋭く抉るクリティカルな野心作である。 所轄警察署の地域課に所属する実直な制服警官(菅田俊)が、薬物・銃器の捜査を担当する刑事に抜擢されたことをきっかけに組織の悪に毒され、ついには悪徳警官の烙印を押されて破滅していく──。 組織に利用され、翻弄されたひとりの警察官の変貌をとおして、警察に根ざす構造的腐敗の実態をみごとに描ききっている。これは、日本映画史上で最もリアルなポリス・ムービーといっても過言ではないだろう。 監督、脚本は『GOTH』('08年12月公開)の鬼才・高橋玄監督。原案とアドバイザーを〝警察の天敵〟の異名をとるフリージャーナリストの寺澤有氏が担当。「警察腐敗」という重いテーマをあつかった社会派映画でありながら、一般の人が楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっている。 『ポチの告白』予告編 YouTube 2006年 カラー ビスタサイズ 185min グランカフェ・ピクチャーズエグゼクティブプロデューサー 佐藤輝和、小高勲、高橋玄 製作 田村正蔵、高橋玄 監督、脚本、編集 高橋玄 撮影 石倉隆二、飯岡聖英  原案 寺澤有  美術 石毛朗  音楽 高井ウララ、村上純、小倉直人 助監督 中西正茂出演 菅田俊、野村宏伸、川本淳市、井上晴美、井田國彦、出光元、水上竜士、宮本大誠、風祭ゆき、ガンビーノ小林、木下順介、山下真広、舩木壱輝、新井貴淑、時田望、李鐘浩、蓉崇、宮崎学 2009年1月24日「新宿ケイズシネマ」にてロードショー公開 『ポチの告白』公式サイト

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月21日 13時51分

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メディア警察

和解金は不払いでも「口封じ」をしようとする〝逆ギレ弁護士〟

「増田俊男・江尻眞理子・サンラワールド」被害者の会によると、増田俊男氏と『サンラ・ワールド社』(江尻眞理子社長)は、裁判上の和解で債務不履行にしたという。ようするに和解条項を破って、和解金を支払わなかったということだ。 〔参考記事〕裁判で和解しても、和解金を支払わない増田俊男と江尻眞理子の非道 和解調書に定められた期日を守らず、債権者が好意で延長に応じた期日にも、約束をホゴにしたという。裁判上の和解は、確定判決と同じ効力を持つ。その不履行は、それだけでも由々しき事態だが、サンラ・ワールド社側に謝罪の言葉はなかったようだ。詫びないどころか、同社代理人の佐藤博史弁護士(新東京法律会計事務所)が逆ギレしたというのだから、あきれるほかない。 しかも佐藤弁護士は、「和解金を期日に支払わなくても、事実の公表はしないという『確約書』を書け」と、債権者側に迫ったのだという。非常識もはなはだしい行為だが、債権を回収したいと願う出資者の弱味につけこんで、恫喝的な物言いで無理を通そうとするのが毎度の佐藤流交渉術だ。 佐藤弁護士は、サンラ・ワールド社が運営するウェブサイトで執筆してきた「赤枠広報」で、こんな宣伝をしていたことがある。2008.09.05 佐藤弁護士らを懲戒せず 第二東京弁護士会は,9月3日,M氏が申し立てた佐藤弁護士らに対する懲戒請求について,佐藤弁護士らを懲戒しないとの決定を下しました。 詳細は,決定書をご覧頂きたいと思いますが,弁護士会が,佐藤弁護士らの行為は,通常の交渉案件における代理人弁護士の態度から大きく逸脱した違法,不相当のものとは認められず,サンラの資金集めを正当化したり,サンラの業務を助長したりするものではない,と認めたことの意義は大きいと思います。 ところで,長谷山弁護士は,上野弁護士に代わって,M氏の代理人になった弁護士ですが,そのM氏の弁論準備兼和解期日(非公開)が9月5日午後1時30分です。 M氏も,Y’氏と同じく,この間,津田氏の助言に従って行動してきた人物ですが,M氏が自らの非を認めてサンラに謝罪して和解するのか,それとも,Y’氏と同じく,長谷山弁護士による展望なき訴訟を続けるのか,その結果は,改めてご報告します。佐藤弁護士の横暴には、身内びいきで自浄作用のない弁護士会にも責任がありそうだ。

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月13日 14時45分

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増田俊男/サンラ・ワールド弁護士悪質商法

「サンラ商法」返金、配当に応じず悪質姿勢…訴訟相次ぐ

7日、「ふるさと牧場」(東京都港区)の社長ら6人が、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。 返金、配当に応じない悪質な姿勢で、訴訟が相次いでいる点は、増田俊男氏と江尻眞理子氏が展開する〝サンラ商法〟にも共通している。しかし、マスメディアの取材に堂々と応じ、「だますつもりはなかった」としながらも「罪は償いたい」と言った和牛商法の社長には、避難先の海外で沈黙をつづける増田夫妻にくらべれば、よほど誠意があるようだ。和牛商法 返金、配当に応じず悪質姿勢…訴訟相次ぐ [毎日新聞] 11月7日15時2分配信 「2万頭達成に向け精進します」「出資法に違反しない公明正大な事業へ再編」。7日、警視庁に詐欺容疑で逮捕された相田勇次容疑者(78)が社長を勤める「ふるさと牧場」(東京都港区)の会報やパンフレットには誠実さを強調する言葉が並ぶ。しかし、返金や配当に応じないその悪質な姿勢に、全国の被害者からは被害回復を求める訴訟が相次いでいるという。【武内亮、山本太一】 00年発行されたふるさと(共済=当時)牧場の会報「FURUSATO」。オーナーの女性2人を交えた対談で、相田容疑者は「悪徳業者が詐欺まがいな事をやったり、実際に詐欺を行ったり、大きな社会問題になった。今私どもが残っているということで誠実が証明されてよかった。雨降って地固まるといった感じですね」と話していた。 東京都町田市の無職男性(77)がふるさと牧場に100万円を預けたのはその4年前の10月。中小企業の経営者を支援する福祉財団が発行している書籍の中の広告が目にとまった。「しっかりした財団だから大丈夫だろう。利率が高いので、老後の生活を豊かにできる」。妻(66)と話し合い、貯金を取り崩して契約した。 コース名は契約期間3年の「わかば」。満了日の99年10月には配当を含め112万円が振り込まれる予定だった。だが、満期を迎えても入金はない。催促の電話をかけると事務員が「少し待ってください。必ず返します」と繰り返し、振り込み日はどんどん延ばされた。だまされたと思ったが、手遅れだった。 この男性は毎年1回、ふるさと牧場あてに返金を促す手紙を送り続けている。一方、同社からは「事業が上向いてきたので、もっと出資してほしい」と呼びかけるパンフレットがたびたび届く。妻は「人をバカにしているとしか思えない。増資を求める前にきちんと返すものを返すのが筋だ」と憤る。 ◇「だますつもりなかった」 相田容疑者は6日、毎日新聞の取材に「オーナーの会員たちをだますつもりはなかった。罪は償いたい」などと答えていた。一問一答は次の通り。 --ふるさと牧場を始めたきっかけは。 福島県で牧場を経営していた男性に94年に誘われた。「みちのく」という名前も考えたが、全国に通用するということで「ふるさと」と名付けた。 --牧場との契約を解除したのは。  03年ごろ。この男性は(農水省に)「えさ代を払わなくなったから牛を引き揚げた」と説明しているが違う。男性がオーナーの所有する牛を勝手に持っていったという認識だ。 --会員から委託金をだまし取る意図はなかったのか。 飼育していないのに委託金を募っていたことは認める。ただ、だますつもりはなく、集めた金は男性や社員らが勝手に使い込んだ。会社にはお金は残っていない。 --会員に対してどう謝罪するのか。 (このような事態を招いたのは)私自身の監督責任だと思っている。罪はきちんと償いたい。男性や社員らから取り戻せるお金は取り戻してオーナーに返還したい。「増田俊男・江尻眞理子・サンラワールド」被害者の会によれば、増田氏とサンラ・ワールド社は返金に応じないばかりか、和解しても、和解金を支払わないケースを続発させているという。それでもサンラ側に謝罪の言葉はなく、同社らを代理して虚偽の宣伝を繰り返す佐藤博史弁護士に対する非難の声があがっている。

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月8日 18時31分

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増田俊男/サンラ・ワールド悪質商法

なぜ、弁護士が罪をもみ消すのか?

『サンラ・ワールド社』(江尻眞理子社長)法律顧問の佐藤博史弁護士が、日本弁護士連合会が主催する「なぜ、無実の人が自白するのか?」と題したシンポジウムに、講師として登場する。佐藤弁護士が受けもつ弁論のテーマは、「日本におけるDNA鑑定-再鑑定の保障の必要性」だ。「足利事件」再審請求の受刑者弁護団の一員として、DNA再鑑定の道を開いた功績を認められて、講師に抜擢されたのだろう。 なぜ、無実の人が自白するのか? 日時 2008年12月13日(土)13:00~17:00場所 発明会館(会場地図) 港区虎ノ門2-9-14 (地下鉄銀座線虎ノ門駅下車3番出口徒歩3分) 参加費等 申込不要・入場無料 プログラム 講演「アメリカの虚偽自白125事例が語る真実」講師:スティーブン・ドリズィン氏(ノースウェスタン大学ロースクール教授) 特別報告「免田事件の自白経過」報告者:免田栄氏(免田事件元請求人) 報告「日本におけるDNA鑑定-再鑑定の保障の必要性」報告者:佐藤博史氏(弁護士) パネルディスカッション 「自白が生む誤判・えん罪の悲劇を生まないために」 関東の弁護士会を代表して栄誉をになった佐藤弁護士だが、サンラ・ワールド社顧問として繰り返してきた不当な行為が、それで帳消しにされるわけではない。 '02年、サンラ・ワールド社に対して損害賠償を求めて訴訟を起こした公認会計士の関係者が、数名の暴力団員風の男たちから暴行を受けて脅迫される事件があった。この事件の実行者は、サンラ・ワールド社の実質上の経営者である増田俊男氏の腹心の部下で、同社グループ会社の社長を務めていた人物。サンラ・ワールド社に対する訴訟の取り下げを強要する目的で、実行されたのだった。被害者が被害を届け出たことによって、神奈川県警が捜査に乗り出して、同年末に増田氏は県警高津警察署へ出頭を求められている。そして、増田氏から依頼を受けた佐藤弁護士は、知人を通じて脅迫事件の実行者に、警察の取調べに対して増田氏の関与を否定するよう口止めを行ったのだ。この事実の存在は、佐藤弁護士が代理人となり、増田氏らが当ブログ管理者の津田哲也に対して起こした〝嫌がらせ訴訟〟の判決で認定されている。 さらに佐藤弁護士は、公認会計士脅迫事件の口止め工作を実行した以降もサンラ・ワールド社の顧問をつづけた。そして、同社らによる不正な出資金集めを黙認もしくは助言することで、被害が拡大する結果をまねき、異常に高額な報酬を得てきたのだ。 無実の人の冤罪を晴らそうとする行為は、弁護士としての使命だろう。しかし、罪をもみ消し、さらには進行中の不正を擁護することは、弁護士としてあるまじき行為なのではないのか。

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月1日 15時8分

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増田俊男/サンラ・ワールド弁護士悪質商法警察

戦時下最大の言論弾圧事件「横浜事件」第4次再審請求で再審決定 〔横浜地裁〕

きょう、横浜地裁が再審の開始を決定した「横浜事件」は、戦時下最大の言論弾圧事件として知られる。この事件の第4次再審請求の弁護団で、主任弁護人を務めているのが、第2東京弁護士会に所属する佐藤博史(さとうひろし)弁護士だ。 佐藤弁護士は、200億円を超えるとされる巨額の資金を不正に集め、問題化している『サンラ・ワールド社』(江尻眞理子社長)の顧問弁護士でもある。「言論弾圧のために捏造されたという、横浜事件の構造そのものを認めてほしい」として、第4次再審請求にかかわってきた佐藤弁護士だが、一方では増田俊男氏とサンラ・ワールド社の代理人となり、みずからが言論を不当に弾圧する訴訟を起こしていた。それが、当ブログ管理者の津田哲也に対する名誉毀損訴訟だった。 津田に3300万円の賠償などを求めた名誉毀損訴訟では、佐藤弁護士はサンラ社側の代理人というだけではなく、自身も訴因とした記事の当事者でもあった。その判決は、今月の7日に東京地裁で言い渡されたが、結果はサンラ側の全面敗訴。請求は棄却され、訴訟が不当であったことを裁判所が認めたわけだ。しかも判決では、神奈川県警が捜査をしていた「公認会計士脅迫事件」の実行者の口止めという、証拠隠滅に類する行為を佐藤弁護士が実行していた事実も認定されている。 表舞台では、「横浜事件」で言論人の側に立ち、神奈川県警(特高課)による言論弾圧に挑む正義の弁護士を演じる佐藤弁護士。しかし、その裏では神奈川県警の正当な捜査を妨げ、真実を暴いた津田の言論を不当に弾圧していたのだ。 佐藤弁護士は今月なかばにも、「足利事件」の再審請求をめぐって、マスメディアの注目を浴びている。「この(足利)事件は金太郎飴のように、どこを切っても菅家(受刑者)さんが無罪だ」として、権力と闘う姿勢をみせてきた佐藤弁護士だが、ご当人の極端な二面性は〝オセロのコマ〟のように思えてならないのだが。 【関連記事】法廷で暴かれた「増田俊男」氏と「佐藤博史」弁護士のウソと不正 【関連記事】『サンラ・ワールド社』顧問の佐藤博史弁護士が「足利事件」再審請求抗告審で単独会見「横浜事件」第4次再審請求、横浜地裁が開始決定 [読売新聞] 写真を手に横浜地裁に入る請求人の小野新一さん(中央左)と斎藤信子さん(中央右)ら 戦時中に共産主義を宣伝する論文の編集に関与したなどとして、編集者らが治安維持法違反で摘発された言論弾圧事件「横浜事件」の第4次再審請求で、横浜地裁(大島隆明裁判長)は31日、事件の発端となった編集者らの会合について、「共産党再建会議とされた会合は編集者らの慰労会に過ぎない」と指摘し、「拷問による自白に信用性はなく、会合の集合写真などは、無罪を言い渡すべき明確な新証拠にあたる」として、再審開始を決定した。 横浜事件を巡る再審開始決定は、拷問による自白を認めた3次請求に続くものだが、今回は、捜査の前提を否定し、当時の裁判についても「拙速と言われてもやむを得ない」と批判するなど、極めて踏み込んだ形の司法判断となった。 請求していたのは、1945年に有罪判決(懲役2年、執行猶予3年)が確定した出版社「改造社」社員の小野康人さんの遺族2人。小野さんは、42年に雑誌「改造」に発表された評論家・細川嘉六氏(故人)の論文「世界史の動向と日本」の校正作業を行ったほか、富山県の旅館で細川氏らが日本共産党を再建するための会合に出席したとして、翌年、神奈川県警の特別高等警察に逮捕された。 請求で遺族側は、〈1〉論文は共産主義を宣伝するものではない〈2〉会合は単なる慰労会だった〈3〉特高の拷問による自白があった――と主張。歴史学者らが論文内容を評価した鑑定書3通や、旅館の中庭で編集者らが浴衣姿で写る集合写真などを新証拠として提出した。検察側は「鑑定書は(事実認定を揺るがす)新証拠としての適格性がない」などと反論していた。 大島裁判長は決定書で「酒を持って船で行楽に赴くなど派手な行動をしており、秘密会合とうかがわれる様子はなく、慰労会そのもの」と断定。鑑定書は新証拠として採用しなかったものの、論文については「共産主義的啓蒙(けいもう)論文といえるものだったか疑問を禁じ得ない」と言及した。 地裁決定に不服がある場合、検察側は11月4日までに東京高裁に即時抗告できる。地裁決定が確定すると、再審が開始される。3次請求の再審では、有罪か無罪かを判断せずに裁判を打ち切る「免訴」判決が、今年3月末に最高裁で確定した。4次請求の再審公判でも、同様に「免訴」判決が出る可能性が高い。 ◇横浜事件再審決定の骨子◇  ▼再審を開始する  ▼大赦により赦免されたとしても、再審を請求することが許される  ▼事件の記録が廃棄されているからといって、再審請求を認めないのは裁判所のとるべき姿勢ではない  ▼「共産主義的啓蒙論文」に関する専門家の鑑定書は、新証拠に当たらない  ▼「共産党再建の準備会」とされた会議の写真などは、無罪を言い渡すべき新証拠と言える  ▼拷問による自白強制の可能性が高いが、第1次再審請求棄却では最終的、実質的判断を下していない (2008年10月31日12時02分)

作者: 津田哲也

更新日:2008年11月1日 12時25分

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増田俊男/サンラ・ワールド弁護士悪質商法警察

大神源太「ジー・オーグループ」元会長に2審も懲役18年

組織犯罪処罰法(組織的詐欺)などの罪で懲役18年の東京地裁判決を受け、控訴していた大神源太被告に対して、きょう東京高裁は1審判決を支持し、控訴を棄却する判決を言い渡した。巨額詐欺のジー・オー元会長、2審も懲役18年 [読売新聞] 10月20日11時58分配信 高配当をうたい、通信販売事業などへの投資名目で資金を集めた「ジー・オーグループ」による巨額詐欺事件で、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)と詐欺の罪に問われた同グループ元会長・大神源太被告(45)の控訴審判決が20日、東京高裁であった。 池田耕平裁判長は、「低金利が続いていた当時の会員心理につけ込み、多くの被害者から多額の金を詐取し続けた極めて卑劣かつ悪質な犯行」と述べ、懲役18年とした1審・東京地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。大神被告側は上告する方針。「会員は当たれば儲かり、外れれば損することを知っていた。だから詐欺にはあたらない」などとして、大神被告側は無罪を主張していた。

作者: 津田哲也

更新日:2008年10月20日 15時32分

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『サンラ・ワールド社』顧問の佐藤博史弁護士が「足利事件」再審請求抗告審で単独会見

「足利事件」再審請求抗告審でDNA再鑑定の見通しがでてきたことから、受刑者側弁護団 の佐藤博史弁護士(新東京法律会計事務所)が17日、都内で単独記者会見を開いた。 <参考記事>足利事件再審請求抗告審 DNA再鑑定を行う見通し 東京高裁 [FNN] <参考記事>「科学の名による冤罪―足利事件」再審無罪を求める東京集会参加報告 手弁当で、この「足利事件」に取り組んできたという佐藤弁護士。だが、その廉潔とみえる活動とは裏腹に、佐藤弁護士は'02年ごろから『サンラ・ワールド社』の法律顧問を務め、同社から億単位の高額な報酬を得てきている。 弁護士たるもの、金太郎アメのように、どこを切っても「潔白」であってもらいたいものだ。

作者: 津田哲也

更新日:2008年10月20日 15時34分

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増田俊男/サンラ・ワールド弁護士悪質商法

法廷で暴かれた「増田俊男」氏と「佐藤博史」弁護士のウソと不正

増田俊男氏らが、当ブログ管理者に対して起こしていた〝嫌がらせ訴訟〟の判決が言い渡された7日以降、佐藤博史弁護士(新東京法律会計事務所)は沈黙をつづけている。 この裁判の原告側代理人で『サンラ・ワールド社』法律顧問の佐藤弁護士は、判決前にはまさに騎虎の勢いで、連日のように自己の優勢を大宣伝していた。先月12日には、サンラ・ワールド社が運営するサイト上で「津田氏のもうひとつの名誉毀損裁判の判決は10月7日です。津田氏の虚偽が裁判所によって断罪される日が近づいています」と予告し、異様なまでの自信を表明していた佐藤弁護士。ところが、フタを開けてみるとサンラ側の完敗である。しかも、裁判所によって虚偽を断罪されたのは、佐藤弁護士自身だった。 判決について、サンラ側からの発表がないため、当ブログで判決文を公開しておく。 「hanketsu08.10.07b.pdf」をダウンロード ←「判決文」クリック! 8月1日の赤枠広報で、佐藤弁護士は自身の執筆記事に、参考資料として名誉毀損裁判で提出した「準備書面6」(7月28日付)を添えていた。 「200808011.pdf」をダウンロード ←「準備書面6」クリック! ぜひ、判決文と比較して読んでもらいたい。 佐藤弁護士は「準備書面6」のなかで、被告(津田)や被告側証人のK氏らをことごとく「ウソツキ」呼ばわりし、被告側代理人の大野裕弁護士に対しては「弁護士職務基本規定」を引用して激烈に批判していた。20 被告訴訟代理人は,被告準備書面(3)に次のように書いた。 「原告ら訴訟代理人らは準備書面4及び5において,被告本人のみならず,その訴訟代理人である当職,あるいは全くの第三者であるK三郎・南里軍人を,まるでアジテーションビラの如き激烈な言葉を用い非難している。しかし原告ら訴訟代理人らによる非難は,その表現の激烈さとは裏腹に,くだくだしい言葉が踊るばかりであり,説得されるべき点も,心に響く点も存在しない。その原因はどこにあるのであろうか。それは要するに,証拠の基づかずに自分に有利なストーリーを強引に作り上げて,その構築したストーリーに併せて証人を強引に誘導して言質を取るという原告ら訴訟代理人らの立論・立証の手法の本質的欠陥にあるのである。すなわち,原告ら訴訟代理人らは,証拠によって事実を明らかにするのではなく,主張によって事実を作りあげようとするから,その主張が他者の心に響かないのである。」(2 頁) しかし,本件は,被告とKが,佐藤は脅迫事件の「もみ消し」を行ったと主張してやまない,佐藤の名誉にも関わる事件である。つまり,Kは,第三者などではない。 そして,既にみたように,被告およびKは,嘘に嘘を重ねて,佐藤をおよそあり得べからざる弁護士として描き,そこで用いられた言葉は,原告ら訴訟代理人の言葉をはるかに上回る激烈なものである(その一端は既にみてきた)。 さらに,強調しなくてはならないが,被告訴訟代理人は,被告がつぎつぎに紡ぎ出す「嘘の集積」をまったく無批判に証拠として裁判所に提出した。 また,本件訴訟ほど,争点に無関係な,相手方および相手方訴訟代理人の名誉・信用を毀損する文書が証拠として提出されたことはないであろう。 弁護士職務基本規定は,その20 条(依頼者との関係における自由と独立)で,「弁護士は,事件の受任及び処理に当たり,自由かつ独立の立場を保持するように努める」と定め,依頼者の言いなりになってはならないことを定め,さらに,その6 条(名誉と信用)で,「弁護士は,名誉を重んじ・・・・・・」,70条(名誉の尊重)で「弁護士は,他の弁護士・・・・・・との関係において,相互に名誉と信義を重んじる」,71 条(弁護士に対する不利益行為)で「弁護士は,信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れてはならない」と定めている。 原告らと佐藤の名誉を著しく毀損する被告やKの「嘘」を平然と擁護し,原告ら訴訟代理人の準備書面を,「アジテーションビラの如き」と評し,「くだくだしい言葉が踊るばかり」と罵倒する被告訴訟代理人の行為は,弁護士倫理に反する疑いがある。「証拠の基づかずに自分に有利なストーリーを強引に作り上げ」た,「証拠によって事実を明らかにするのではなく,主張によって事実を作りあげようと」したのは,被告およびK,そして,被告訴訟代理人であって,原告らあるいは佐藤では断じてない。しかし、裁判所の認定は、まったくの逆だった。「弁護士倫理に反する疑いがある」と非難された大野弁護士の完勝である。佐藤弁護士には、あらためて「弁護士職務基本規定」を読みなおしてもらいたい。平成20年10月7日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官平成1 9年(7)第4 4 4 5号損害賠償等請求事件口頭弁論終結日 平成20年7月29日                   判     決 東京都中央区日本橋人形町三丁目1番1 1号原           告       サンラ・ワールド株式会社同代表者代表取締役        江  尻  眞 理 子 東京都●●区●●●●●●●原           告       増  田  俊  男 上記両名訴訟代理人弁護士    佐  藤  博  史     同               木  村  文  幸     同               金  澤     優 東京都●●区●●●●●●●被           告       津  田  哲  也 同訴訟代理人弁護士        大  野     裕             主    文 1 原告両名の請求を,いずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告両名の負担とする。          事 実 及 び 理 由 第1 請求 1 被告杖,原告サンラ・ワ⊥ルド株式会社に対し,金1650万円及びこれに対する平成1 9年3月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を,原告増田俊男に対し,金1650万円及びこれに対する平成19年3月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を,それぞれ支払え。 2 被告は,別紙1、 「ブログ目録」に記載の各ブログから,別紙2 「ブログ記事目録」に記載の各記事を削除するとともに,同各ブログのトップページに,別紙6の被告作成の謝罪文を,それぞれ本判決確定の日から1年間掲載せよ。 3 被告は,別紙1 「ブログ目録」 1に記載のブログのトップページに別紙4 「謝罪広告文」に記載の謝罪広告を,同目録2及び3に記載の各ブログのトップページに別紙5 「謝罪広告文」に記載の謝罪広告を,それぞれの別紙に記載の条件で,本判決確定の日から1年間掲載せよ。 第2 事案の概要 本件は,投資顧問会社である原告サンラ・ワールド株式会社(以下「原告会社」という.)及びその実質的な主宰者である原告増田俊男(以下「原告増田」という。)が,ジャーナリストである被告が執筆し掲載した別紙1「ブログ目録」に記載の各記事(以下「本件ブログ記事」という。)によって名誉及び社会的な信用を毀損されたとして,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまでの遅延損害金並びに謝罪広告及び謝罪文の各掲載を求めた事案である。 1争いのない事実等(証拠により認められる事実は括弧で証拠を示す。) (1)当事者 ア 原告会社は,平成8年4月1 5日に,有価証券を中心とする投資顧問業,金融や資産運用等のコンサルタント等を目的として設立された株式会社であり(甲1号証),卓の代表者は原告増田の妻である江尻虞理子(以下「江尻」という。)とされているが,実質的な主宰者は原告増田である。 イ 被告は,本件ブログ記事を執筆し,別紙1 「ブログ目録」に記載の各ブログ(以下「本件各ブログ」という。)に掲載したジャーナリストである。ウ HT(以下「H」という。) は, 昭和51年に米国のロスアンゼルスで原告増田と知り合い, その後, 平成10年に日本で原告増田と再会し, 平成11年には原告両名の広報活動等を目的として設立されたサンラ出版株式会社 (以下「サンラ出版」という。) の取締役副社長に就任し, 「サンラ出版」が発行していた月刊誌「資本の意志」の編集長となった。Hは,平成12年1月にはサンラ出版の代表取締役に就任し,平成13年9月ころまで,その地位にあった(乙30号証)。 エ KS(以下「K」という。) は, Hの友人であり, 平成11年ころにHの紹介で原告増田と知り合い, その後, 原告増田から原告会社の経営等について相談されるなど親密な交際をしていた者であって, 被告に原告両名に関する情報を提供した者である。 (2)被告が雑誌「財界展望」に執筆した記事につき先に示談がなされたこと ア 被告は,Kに取材して得た情報を元に, 「『投資の神様』は本当か?出資法違反も疑われる有名評論家増田俊男氏が集めた『四十億円』」と題する記事(甲2号証,以下「本件財展記事」という。) を執筆し, 平成14年8月1日, 株式会社財界展望新社 (以下「財界展望社」という。) 発行に係る雑誌「財界展望」 2002年9月号に掲載した。 イ 本件財展記事には,「サンラ・ワールド株式会社は出資法に違反する疑いもある」, 「増田氏はロスでネズミ講の支部長をやっていて逮捕され一年ほど刑務所に入れられている」との記載のほか, 「一昨年,増田氏は投資に関するトラブルで,都内の公認会計士から7 1 0万円の支払いを求める訴えを,東京地方裁判所に起こされている。その提訴の直後,原告の公認会計士のもとへ数人の暴力団員風の男が押しかけてきて, 『増田先生に対する訴えを取り下げろ』と凄んだというのだ。会計士を脅しに行った人物は,『(脅迫の)仕事が終わったあと,増田先生は俺に『謝礼だ』と言って100万円を渡そうとした』と証言している。」との記載があった(申2号証)。 ウ これに対し,原告両名は,財界展望社及び被告に対し,本件財展記事の「サンラ・ワールド株式会社は出資法に違反する疑いもある」, 「増田氏はロスでネズミ講の支部長をやっていて逮捕され一年ほど刑務所に入れられている」などの記載は原告両名の名誉及び社会的信用を穀損したとして抗議した。財界展望社は,原告増田に関する本件財展記事の記載の一部に誤りがあることを認め,平成14年10月1日発売の「財界展望」 2002年11月号に謝罪広告を掲載した(甲5号証,乙9号証添付の資料9)。エ さらに,財界展望社, 「財界展望」の当時の編集長である永野敏之及び被告は,原告両名に対し,平成14年10月3 1日,本件財展記事が原告両名の名誉と信用を著しく穀損したことを陳謝するとともに,財界展望社が原告両名に慰謝料として合計5 0万円を支払うこととする示談をした(甲3号証)。財界展望社は,上記示談に基づき,原告両名に対し,合計5 0万円を支払った。 (3)被告が自分のブログに本件ブログ記事を掲載したこと ア 被告は,平成18年10月13日及び同年11月22日,本件ブログ記事を執筆し,被告自身が開設した本件各ブログにそれぞれ掲載した。本件ブログ記事の内容は,別紙2 「ブログ記事目録」及び別紙3 「ブログ記事本文」に記載のとおりである。 イ 本件ブログ記事のうち,別紙3 「ブログ記事本文」②ないし④の部分は,本件財展記事からの引用であり,原告増田が平成12年に同人に対し損害賠償請求訴訟を提起した公認会計士に対して同訴訟を取り下げるよう脅迫したとされる事件(以下「公認会計士脅迫事件」という。) について記載されている。 ウ 本件ブログ記事のうち,同別紙⑤ないし⑦の部分には,原告増田が弁護士と共謀してKに対し公認会計士脅迫事件に原告増田が関与したことにつきHに口止めすることを依頼したとされる事件(以下「公認会計士脅迫口止め事件」という。) について記載されている。 2 争点及び当事者の主張 本件は,被告の本件ブログ記事によって原告両名の名誉等が侵害されたとして争われているものであり,侵害の事実の有無とともに,被告に違法性阻却事由が認められるか否か,とりわけ摘示された事実が真実であるか否かが争点である。 (1)争点1 (原告両名の社会的評価の低下の有無) (原告両名の主張) 本件ブログ記事は,原告増田が公認会計士脅迫事件に共犯として関与していること及び原告増田が公認会計士脅迫事件の口止めを図ったとの事実をそれぞれ摘示したものであり,脅迫罪や証拠隠滅罪に該当する事実を摘示したものであるから,これにより原告増田及び原告増田と密接な関係にある原告会社の名誉及び社会的信用を著しく毀損したものである。 (被告の主張) ・原告両名の上記主張は争う。 (2)争点2 (公共性及び公益目的の有無) (被告の主張) ア 本件ブログ記事は,別紙3 「ブログ記事本文」に記載のとおり,投資名目で大々的に資金集めを行ってきた原告両名の行為の問題性を指摘するとともに,この莫大な資金集めと密接不可分の関係にある公認会計士脅迫事件及び公認会計士脅迫口止め事件を取り上げたものである。 イ 被告が本件ブログ記事を執筆・掲載した動機は,ジャーナリストとしての正義感・使命感にあり,原告両名による莫大な資金集め行為の問題性を広く市民ないし消費者に知らしめ,その批判に晒すことによって投資被害及び消費者被害の拡大を防止することにあった。 ウ 被告は,本件ブログ記事の読者から,投資名目で原告両名に預けた資金の返還方法等について相談を受けたことがあるが,そのことに対する対価は一切受け取っていない。本件記事の内容は客観的な取材に基づくもので,殊更に原告両名を侮辱するなど感情的な表現は含まれていない。 エ 本件ブログ記事の内容に公共性があり,被告が本件ブログ記事を投稿したことが公益目的によるものであることは明らかである。 (原告両名の主張) 本件ブログ記事の内容は公共性を有することは認める。しかし,本件ブログ記事が摘示した事実はいずれも虚偽であり,かつ被告はそのことを知り尽くしていたから,公益目的ではない。 (3)争点3 (真実性又は相当性の有無) (被告の主張) ア 本件ブログ記事は真実である。 (ア) Hの供述(乙30号証)によれば,原告増田は,Hに対し,謝礼金の提供を事後的に申し出ただけでなく,事前に公認会計士への脅迫を指示したというのであるから,原告増田が公認会計士脅迫事件の首謀者であったことは明らかである。Hは,実行行為の中心人物であり,脅迫罪の公訴時効期間が満了した今となって虚偽を述べる動機は乏しく,その供述の信用性は高い。 (イ)また,Kも,本法廷において,原告増田がHら公認会計士脅迫事件の実行犯を招いてご苦労さん会を開いたこと,ご苦労さん会の後,江尻が,Hに対して報酬の趣旨で「少ないけど」といってお金を渡そうとしたこと,一平成15年2月10日より前に,佐藤博史弁護士(以下「佐藤弁護士」という。) から電話でHの口止めを依頼されたことなどを供述しており, その信用性は高い。 (ウ) 仮に,本件ブログ記事の一部に真実ではない事実(例えば,公認会計士が原告両名に対して提起した損害賠償請求訴訟の訴訟額は7100万円ではなく, 4792万円余りであったことなど。)が含まれていたとしても,そのような事実は,本件ブログ記事全体からみれば重要な部分ではなく,本件ブログ記事全体としては真実であるといえる。 (エ) 以上のとおり,本件ブログ記事全体の内容が真実であることは明らかである。イ 仮に,本件ブログ記事に真実ではない部分があったとしても,被告には本件ブログ記事の内容を真実であると信じるについて相当の理由があった。 (ア) 被告は,公認会計士脅迫事件及び公認会計士脅迫口止め事件について,それぞれに深く関与しているH及びKの他,公認会計士であるFT(以下「F」という。)に取材を行っており,本件ブログ記事が執筆及び掲載された当時,本件ブログ記事の内容が真実であることを確信していた。 (イ) Fは,被告に対し,Fの友人であり仕事仲間である公認会計士の一人(以下「O」という。)が暴力団員風の男数名から殴られるなどの暴行を受け,Fの原告両名に対する訴えを取り下げるよう脅迫されたことがあると供述していた。 . (ウ) このように,被告は関係者に対し綿密かつ周到な取材を行い,いずれも信用性の高い資料に基づいて真実であることを確信していたものである。 (原告両名の主張) ア 本件ブログ記事の内容は,いずれも虚偽である。 (公認会計士脅迫事件) (ア) 原告両名は公認会計士脅迫事件の存在は認めるが,原告増田が共犯として同事件に関与した事実はない。 (イ) 本件ブログ記事は,Hらが「原告の公認会計士」を脅し, 「増田」が「謝礼だ」といって「100万円」を渡そうとしたと「脅しにいった人物が証言している」などの各事実を摘示しているが,Fの報告書によれば,脅迫されたのは「原告の公認会計士」ではないし,K証言によれば,Hに金を渡そうとしたのは,原告増田ではなく,江尻であった。さらに,Kは,江尻は「謝礼だ」といったのではなく, 「少ないけど」といったと証言した。しかも,K証言では, 「100万円」であるかどうかは明らかではない。要するに,本件ブログ記事の摘示事実の殆どは,K証言などによっても虚偽である。 (ウ) また,Kは,原告増田が,公認会計士脅迫事件の実行者であるHらをねぎらうためにご苦労さん会を開き,その際,江尻がHに謝礼を渡そうとしたのを見たこと及び原告増田にいわれて佐藤弁護士と数回面談したが,その面談から程なくして佐藤弁護士から口止めの電話があり,Hが高津警察署に出頭する前にHに原告増田の関与を否定するよう説得したため,Hは高津警察署で原告増田のことを話さなかったことをそれぞれ証言した。しかし,平成15年1月ころのKと原告増田との通話を録音した記録(甲24号証,乙25号証。以下「通話記録」という。)によれば,Kは,原告増田に対し, 「おれは,あの,何かそれを終わって,そういう事件が終わってから一席どっかで設けたことがあるんですよね」(9 2)(( )は通話記録の会話番号である。以下同じ。), 「それで,設けてね,それがご苦労だっていうことで設けたんだと。本人がいうにはですよ。」(94)と発言しており,ここでいわれている「おれ」及び「本人」とは,Hを指していることは明らかであるから,ご苦労さん会を開いたのはHである。 (エ) しかも,Hは,原告会社の代表取締役を退いた後,原告会社の顧客を対象として,投資会社である株式会社ブロードバンドテレビジョン(以下「ブロードバンド」という。)を設立するなど原告増田とは敵対関係にあったところ,ブロードバンドの代表取締役を務めていたのはKの長男であり,K自身も同社の取締役であったから,Hとは一体的な関係にあり,中立の第三者ではない。そのような立場にあるKの証言には信用性がない。 (オ) さらに,Hの証言書(乙30号証)には信用性も証拠価値もない。同人は,原告増田に対し,強い憎悪を抱いている一方,Kとは協力関係にあり,同人から頼まれれば,同人の窮状を救うために「証言書」に署名することを厭わない。Hの証言書(乙30号証)は,わずか1頁のもので,その内容はK証言を要約しただけで,Hだけしか知らない事実は記載されていない。 (カ) 結局,公認会計士脅迫事件について被告が提出した証拠(乙5, 2 8,3 0号証及びK証言)にはいずれも信用性がない。 そうすると,原告増田が公認会計士脅迫事件に共犯として関与したことは立証されていない。 (公認会計士脅迫口止め事件) (ア) 公認会計士脅迫事件が虚偽である以上,公認会計士脅迫口止め事件も虚偽である。 (イ) 法科大学院で刑事弁護を教える佐藤弁護士が,平成1 5年2月当時において原告増田と敵対関係にあったHに対し,第三者であるKを通じて働きかけるという,実効性の乏しい,かつ露見する可能性の高い,しかも犯罪を構成する証拠隠滅行為を行うことはあり得ない。 (ウ) また,Hが高津警察署に出頭したのは同月1 0日であり,Kが佐藤弁護士と面談したのは同月7日, 10日及び12日であった。他方,K証言によれば,佐藤弁護士による口止め依頼があったのは,面談後の電話よるというのであるから,Hが高津警察署に出頭する前に口止めを依頼する時間的余裕はなかった。被告は,後でKの「陳述書(2)」 (乙2 8号証)を提出して,出張先の新幹線の中から佐藤弁護士が口止め依頼の電話をしてきたのは同月8日又は同月9日のことであると訂正したが,佐藤弁護士はいずれの日も出張していない。その日は土曜日と日曜日である。 (エ) 実際のところ,Kは,佐藤弁護士に対し,平成15年2月7日,他愛のない世間話として,原告増田が開いたご苦労さん会の話をした。佐藤弁護士は,その話を聞き,たまたま本件財展記事の示談に関与していたので,本件財展記事の情報源がKであることに気付いたが,その時は黙って聞いていた。そして,佐藤弁護士は,サンラ出版の株券を回収した後である同月17日ころ,Kに対し,公認会計士脅迫事件について根拠のない話を吹聴しないように電話で警告した。佐藤弁護士紘,本件財展記事について既に解決済みであったことなどから,Kに対し,電話で警告するだけで十分と考えた。佐藤弁護士がKに対し電話で警告したのはこの時の1回限りであり,その時点で,同月10日に行われたHの取調べは終了していたから,Hに対する捜査とは無関係である。このように佐藤弁護士の口止めは,K自身に対する口止めであった。 (オ) なお,原告増田及び佐藤弁護士は,同月当時,同月10日にHに対する取り調べが行われたことを知らなかった。公認会計士脅迫口止め事件なるものは存在しない。 イ 被告が真実であると信じたことに相当の理由はない。 (公認会計士脅迫事件) 通話記録によれば,ご苦労さん会の主催者についてK証言と本件ブログ記事との間に食い違いがある。そして,被告は同テープを録音直後に入手しており,Kの供述内容が担造されたものであることに気付くことは容易にできたから,真実であると信じる相当の理由はない。 (公認会計士脅迫口止め事件) Kの証言内容は虚偽であり,そのことは被告自身が知っていたから,被告は,公認会計士脅迫口止め事件が真実であると信じる余地はない。 (4)争点4 (損害額と謝罪広告等) (原告両名の主張) ア 損害額 本件ブログ記事の内容は原告両名の名誉及び信用を著しく傷つけた。本件ブログ記事が摘示した公認会計士脅迫事件及び公認会計士脅迫口止め事件はいずれも虚偽であって,かつ被告において真実であると信じる余地はなかった。被告は,原告両名に対し,公認会計士脅迫事件を報じた本件財展記事につき謝罪し,同様の行為を繰り返さない旨誓約していたにもかかわらず,本件ブログ記事で公認会計士脅迫事件に付加して公認会計士脅迫口止め事件を報道して原告両名に対する名誉及び信用鞍損行為を繰り返したので,悪質性は顕著である。インターネットを悪用した名誉及び信用穀損行為が氾濫している今日,悪質な捏造記事は犯罪というべきであり,一罰百戒の意味をも込めて,高額の慰謝料の支払を命じる必要がある。本件ブログ記事による原告両名の損害は,弁護士費用を含めて,それぞれにつき1650万円,合計3300万円と認められるべきである。 イ 謝罪広告等 本件において原告両名が受けた損害を回復するためには,損害賠償だけでは不十分であり,原告両名が求めている別紙4ないし6の謝罪広告等の掲載を命じる必要がある。 (被告の主張) すべて争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1 (原告両名の社会的評価の低下の有無)について (1) まず,本件ブログがインター.ネット上で公開されているもので,誰でもこれにアクセスすることができ,不特定多数の者が簡単に閲読することができるものであること,しかも,本件ブログ記事の内容が,別紙2 「ブログ記事目録」及び別紙3 「ブログ記事本文」に記載のとおりであること,以上の事実は当事者間に争いがない。 (2) そこで,本件ブログ記事が原告両名の社会的評価を低下させるものか否かについて検討するが,一般に,言論等によって個人や法人等の社会的評価ないし信用を低下させたかどうかは,これを閲読する一般読者を基準に判断すべきであるから,以下,このような観点から,検討する。 ア 本件ブログ記事のうち,公認会計士脅迫事件について言及した記載①ないし④,とりわけ, 「この訴訟で,増田氏と江尻社長は常軌を逸した"無法"な対策を講じている。」 (記 ①), 「一昨年,増田氏は投資に関するトラブルで,都内の公認会計士から7100万円の支払いを求める訴えを,東京地方裁判所に起こされている。その提訴の直後,原告の公認会計士のもとへ数人の暴力団員風の男が押しかけてきて, 『増田先生に対する訴えを取り下げろ』と凄んだというのだ。公認会計士を脅.しに行った人物は, 『(脅迫の)仕事が終わったあと,増田先生は俺に『謝礼だ』と言って100万円を渡そうとした』と証言している。」 (記 ②)との.部分は,結局,原告増田と原告会社の江尻社長が,暴力団員風の男を使って,公認会計士に訴訟を取り下げるよう凄むという,常軌を逸した無法な対策を講じたという事実を摘示しているものであるから,これを閲読する一般読者に対して,原告両名が公認会計士を脅迫して訴訟を取り下げさせようとしたという違法な行為を行ったとの印象を与えるものである。 イ また,本件ブログ記事のうち,公認会計士脅迫口止め事件について言及した記載⑤ないし⑧の部分には, 「『被害者は自分』とまで言い切った増田氏だが,およそ半年後の' 03年初旬,氏の弁明が"真っ赤なウソ"だったことが明らかになる。 増田氏は,弁護士と共謀して事件の口止めを図ったのだ。」 (記載⑤), 「警察が行方を追っていたさなか, Hと連絡が取れるK氏という人物のもとへ,増田氏本人とサンラの弁護士から電話がかかった。用件は, Hの口止めの依頼である。 『Hが高津署へ出頭しても,増田氏の関与は否定してはしい』と増田氏と弁護士は再三にわたって, K氏を通じて要求したのだという。」 (記載⑥), 「しかしHは,自己の犯行は素直に認めたが, 『自分の一存でやった』と,増田氏の教唆については否認をつづけたのである。こうして増田氏は,神奈川県警の捜査の手を逃れた。」 (記載⑦), 「サンラの周辺には,いまも闇勢力の影がチラつく」 (記載⑧)などと書かれており,結局,原告増田が弁護士と共謀して,公認会計士脅迫事件に関する警察の捜査に対し,その実行犯であるHが原告増田の関与を否定するよう, Hの知人であるKに依頼したという事実を摘示しているものであるから,これを閲読する一般読者に対して,原告増田が警察の捜査を妨害するという違法な行為を行ったとの印象を与えるものである。 (3) そうすると,上記のような内容の本件ブログ記事は,原告両名の社会的評価及び信用を低下させるものである。しかも,被告は,このような本件ブログ記事をインターネット上の本件ブログに掲載し,不特定多数の者が閲読することができるようにしたのであるから,被告は,原告両名の社会的評価及び信用を低下させたものといわざるを得ない。被告は,本件ブログ記事の内容は真実であるから,原告両名の社会的評価を低下させるものではないと主張するようであるが,仮に,本件ブログ記事の内容が真実であったとしても,本件ブログ記事や号原告両名の社会的評価を低下させるものであることに変わりはないから,被告の上記主張を採用することはできない。 2 争点2 (公共性及び公益目的の有無)について (1) 本件ブログ記事において摘示されている事実が,公共の利害に関する事実であることは,当事者間に争いがない。 (2) しかしながら,原告は,本件ブログ記事は虚偽の事実を内容とするものであり,被告もそのことを知っていたから,公益目的によるものとは認められないと主張している。そこで,この点について検討するに,証拠によれば,以下の事実が認められる。 ア 被告が本件各ブログを開設する以前にも,インターネット上には,原告両名が投資名目で資金を集めていることが問題であると指摘した「サンマス・ブログ」 というブログが存在していた(乙9,同添付の資料12,乙10添付の資料1,同30)。そこで,被告は,これに投稿するなどして原告両名の問題点を明らかにしていたが,平成1 8年9月にこの「サンマス・ブログ」が閉鎖されてしまったため,同年1 0月に自分で本件ブログを開設した(乙9,被告本人の供述)。 イ 原告会社が運営するサンラ・インベストメント・クラブ(以下「SIC」という。)の会員の一部は,原告両名に対し,詐欺を理由として,損害賠償を請求する訴訟を提起している(乙3号証)。その後,本件ブログ記事を読んだS IC会員らは,原告両名に対し,投資した金銭の返還を求め,その結果として,投資した金銭の一部の払戻しを受けた者もいる(甲10-13号証)。 ウ 被告は,本件ブログ記事の内容が真実であると確信して(被告本人の供述),本件ブログ記事に被告の実名と顔写真とを掲載し(甲7-9号証),責任の所在を明確にした上で本件ブログ記事を発表している。しかも,被告は,本件ブログ記事を閲覧し,原告両名らに投資名目で資金を預託しているという読者からの相談に応じ,必要な情報を提供しているが,それらのサービスはすべて無料であり,被告は何らの対価を受額していない(乙4号証の1-乙4号証の18)。 エ 被告らの上記活動などの影響もあって,原告両名が投資名目で行っている資金集めの実態は社会的にも問題視され,平成20年1月から5月ころにかけて,新聞・週刊誌・テレビ等でも広く報道されるようになった(乙12-24号証)。 (3) 上記認定の事実を総合考慮すれば,被告は,一般大衆が原告両名の投資話に乗せられて金銭を不当に奪われることを心配し,そのような損害の拡大を少しでも防止しようとして,本件ブログ記事を執筆し掲載したものと認めることができるから,そこで取り上げられている事実関係の真偽はともかく,被告自身がもっぱら公益を図る目的をもって本件ブログ記事を執筆し,本件ブログに掲載したものと認めることができる。 この点について,原告両名は,本件ブログ記事の内容はいずれも虚偽であり,かつ,被告はそのことを知り尽くしていたから,公益目的ではないと主張しているが,本件ブログ記事の内容の真否と公益目的の有無とは別個に検討すべき問題である上,被告自身は本件ブログ記事の内容が真実であると確信していたことが明らかであるから,原告両名の上記主張は,その余の点について判断するまでもなく,採用することができない。 3 争点3 (真実性又は相当性の有無)について (1) 被告が執筆した本件ブログ記事の内容が別紙2 「ブログ記事目録」及び別紙3 「ブログ記事本文」に犀我のとおりであることは,当事者間に争いがない。そして,本件ブログ記事では,前記のとおり,公認会計士脅迫事件,公認会計士脅迫口止め事件の2つの事件の真偽が問題となっているから,以下,順にこれを検討する。 (2) 公認会計士脅迫事件関係 ア まず,公認会計士脅迫事件として問題にされている本件ブログ記事は,別紙3 「ブログ記事本文」の①ないし④に記載のとおりであって,その中心は記載②の部分であり,都内の公認会計士が原告増田に対して7100万円の支払を求める訴訟を起こしたところ,原告の公認会計士のもとに数人の暴力団員風の男が押しかけてきて,訴訟を取り下げるよう凄まれたこと,原告増田はこの脅迫した人物に対して「謝礼だ」と言って100万円を渡そうとしたという事実を述べている部分である。 イ そして,後記の証拠によれば,公認会計士脅迫事件については,以下の事実を認めることができる。すなわち, (ア) 平成1 2年に,公認会計士で税理士の資格をも有するFは,原告会社及び原告増田を被告として,株式投資をめぐって生じた損害賠償を求める訴え(東京地方裁判所平成1 2年(7)第9 6 5 5号,以下「F訴訟」という。)を提起したこと(乙6, 7号証),ただし,.その請求額については明確な立証はないものの,被告も7100万円ではなく, 4792万円余りであったと認めていること(弁論の全趣旨), (イ) その後ほどなく,Fの友人で,Fと同じ事務所で働いている同僚のOが,暴力団員風の者4人から殴るなどの暴行を加えられた上, 「今裁判をやっているな。やめておけ。」, 「Fに裁判を取り下げろと強くいっておけ。」などと言われて,脅迫を受けたこと(乙6, 7, 30号証), (ウ) Fは,その直後に,Oから上記脅迫事件について聞かされ,強い恐怖感を覚えたこと(甲16号証の1,乙6, 7号証), (エ) Oに対して暴行し脅迫をしたのは,当時,原告両名の広報活動等を行っていたサンラ出版の社長兼編集長であったHらであったが,このOに対する脅迫等が行われた日に,Hら実行者,原告増田,原告会社の江尻社長らとで,ご苦労さん会が開催され(甲24号証,乙2・5号証),被告増田の妻でもある江尻がHに対して, 「少ないけど」ということで謝礼金を渡そうとしたこと(K証言), 以上の事実である。 ウ そこで,上記アの本件ブログ記事の内容と,上記イの認定事実とを比較検討すると,次のような相違点と一致点とが認められる。 (ア) まず,相違点であるが, (a)本件ブログ記事では,F訴訟の請求金額が7100万円と記載されているのに,認定事実では約4800万円程度の請求であったこと,(b)本件ブログ記事では,脅迫されたのは訴訟を提起したF本人であるかのように書かれているのに,認定事実では,脅迫されたのはFの友人で一緒に仕事をしていたOという者であること, (c)本件ブログ記事では,ご苦労さん会の後,原告増田がHに報酬を渡そうとしたと書かれているのに,認定事実では,Hに報酬を渡そうとしたのは,原告増田の妻で,原告会社の代表者であった江尻であること,(d)本件ブログ記事では,渡そうとした報酬額は100万円と書かれているのに,認定事実では,江尻は「少ないけど」と言って渡そうとしただけで, 100万円というのはKの想像であること,などの相違点がある。 (イ) しかし,本件ブログ記事と上記認定事実とを比較すれば, ①公認会計士であるFが原告両名に対して損害賠償を請求するF訴訟を提起したこと, ②このF訴訟を取り下げるよう暴力団員風の男が脅迫事件を起こしたこと, ④脅迫事件を起こしたHらは原告増田らとご苦労さん会を開催したこと, ④その際,原告会社の江尻社長がHに対して謝礼を手渡そうとしたことなどの事実については,ほぼ一致しているものということができる。 エ ところで,本件で争われている名誉毀損の成否は,言論等によって,その対象とされた者の名誉や信用等の社会的評価が低下させられたか否かが問題となるが,言論等による表現の自由は憲法によって保障されているものであり,その制約は必要最小限度に止めるべきものと考えられるから,そこで名誉穀損の成否が問われるべき事実が真実であるか否かについては,そこで摘示された事実の主要な内容や本質的な部分において真実と評価することができるか否かという観点から判断されるべきである。そして,そのような観点から本件ブログ記事に書かれた公認会計士脅迫事件について検討すると,その主要な内容,本質的な部分は,まさに,原告増田と原告会社の江尻社長が,暴力団員風の男を使って,公認会計士に訴訟を取り下げるよう凄むという,常軌を逸した無法な対策を講じたという事実であろうと考えることができるから,この主要な内容や本質的な部分において真実と認めることができれば,その他の点で多少の相違点があったとしても,違法性阻却の問題としては,摘示された事実は真実であると評価するのが相当である。 そこで,上記ウ(ア)の相違点について検討すると, (a)の点は,請求金額の違いであるが,この点については被告も7100万円ではなく, 4792万円余りの請求であったとして本件ブログ記事が正確でなかったことを認めているものの,いずれにしても高額の請求であることに違いはなく,本質的な相違ではないということができる。 (b)の点は,被害者が誰かについての違いであり,刑事事件としてみれば些細な違いとはいえないものの,民事訴訟を提起したら一緒に働いている同僚が脅迫され,自分自身が脅迫されるよりも怖さを感じたというのであって,脅迫を受けた人物の違いはその威嚇的効果という意味ではほとんど差がなく,脅迫があったことに変わりはないから,この点の違いを過大視するのも相当ではない。さらに, (c)の点では,江尻は原告会社の代表者であるとともに,原告増田の妻であるから,そのような江尻が謝礼を渡そうとしている以上,原告増由もこれに同意しているものと推認することができる(原告増田はご苦労さん会に出席したこと自体を積極的に否定しているわけではない。)ばかりでなく,一般の社会的評価として,原告増田が渡そうとしているものと理解することもできるというべきであって,この点で本質的な違いはないというべきである。 (d)の点は手渡そうとした謝礼の額についての違いであるが,社会的評価として重要なのは,脅迫の謝礼を渡そうとしたということであって,謝礼額の多寡は必ずしも本質的な問題ではないと考えることができる。そうすると,これらの前記(ア)の相違点は,本件の名誉毀損事件における違法性阻却事由としての事実性という観点では,主要な内容,本質的な部分での相違と評価するのは相当ではないというべきである。 オ しかも,本件では,これまでにも触れたとおり,公認会計士脅迫事件が起きた平成12年5月以降当時,Hは,原告両名の広報活動等を担当するサンラ出版の代表取締役で,原告増田とは親密な関係にあったことが認められ,仮に,原告両名がHらによる公認会計士脅迫事件に無関係であるならば,なぜ,その実行当日に,原告増田や原告会社の代表者である江尻らが参加してHらのご苦労さん会が設けられたのかについて合理的に説明することはできないことになる。 その後の事情ではあるが,原告増田は,平成15年1月ころ,Kとの電話の中で,自ら公認会計士脅迫事件について言及し, 「その,私の事件のときにもFはいってたんですけどね,その,プロの暴力団を使って,その,事件を取り下げろといって脅かしたということをね,私の裁判のときにもいってるわけですよ。」(87), 「やられたほうにしてみるとね,そのう,増田さんとの事件を取り下げろというふうに言われているわけだから,私がそれを言わしたと思うのは当然ですよね。」 (134), 「とにかく,Fさんのレコードもなければ,売り買いの報告もなければ,何もないんですから。いきなり7000万金よこせ,とこうきたわけですよ。ま,そのとおりの説明をしたんですよ。だからHさんも,そういう,まさに根も葉もない言いがかりみたいなことをFがやってきたという認識だったからね,だから,そんなつまらないことは取り下げなさいと,いわれたんじゃないかと,思うと。」, 「当時,非常に忠誠心というかね,私のために一生懸命やってたから,まあ,憤りを覚えられたのは,当然だったと思いますよ,と。無茶苦茶なのは,Fさんのほうなんだ。」 (140)などと発言している事実が認められるが,これらの事実は,Hは原告増田の意を汲み,被告増田もHの考えていることを了解し,両者相互に気心を通じた上で,Hが中心となって本件公認会計士脅迫事件が実行されたものであることを示しているものと考えることができ,この点からも原告両名が本件公認会計士脅迫事件に関与していたことは明らかというべきである。 カ そうすると,本件では,原告増田と原告会社の江尻社長が,暴力団員風の男を使って,公認会計士に訴訟を取り下げるよう凄むという,常軌を逸した無法な対策を講じたという事実は真実であり,本件ブログ記事は,その意味で真実を述べているものと評価することができる。 キ もっとも,被告は,平成14年に「財界展望」.に本件財展記事が掲載された後,原告両名に対し,平成14年10月31日付けで,本件財展記事が原告両名の「名誉・社会的信用を著しく穀損するもの」であることを認めて, 「多大のご迷惑をお掛けしたことを衷心からお詫びします。今後は,二度と貴殿らの名誉を毀損する記事を執筆しないことをお約束する」との謝罪文(甲4号証)を原告両名に交付しているところ,この本件財展記事の中に本件公認会計士脅迫事件が含まれていることは事実であるから,その前提となった事実関係が真実ではないことを一応は推認させる。しかも,被告が謝罪文まで交付して本件公認会計士脅迫事件が真実ではないことを認めていたのに,その後,それを簡単に覆せるとするのが相当ではないことも明らかである。 しかしながら,事実認定の問題としては,謝罪したといっても,その謝罪対象が虚偽であることが当然に確定されるわけではなく,そのように推認されるにとどまるものであるから,反証を許さないものではなく,謝罪が本意ではないことや,その前提となった事実の真実性が明らかになれば,謝罪を覆すことも許されるというべきである。そして,本件においては,被告本人尋問の結果によれば,そもそも被告自身はこのような謝罪文を原告両名に交付することには反対であったものの,財界展望社との関係で,やむなく謝罪文を交付したものであることが認められる。すなわち,被告自身は謝罪に反対であったが,本件財展記事の一部に不正確な部分があったこと(原告増田がロサンゼルスの裁判所で実刑1年, 5年の保護観察の判決をうけて,上告が棄却されていると記載したが,実際には原告増田が司法取引に応じて有罪判決は取り消されていたこと)が判明した上, 「財界展望」を出版した財界展望社にも原告両名の代理人である佐藤弁護士から謝罪要求があり(乙9号証添付の資料5),平成14年8月28日には, 2日後の30日までに謝罪広告の掲載と慰謝料500万円の支払に応じなければ,謝罪広告の掲載と慰謝料合計5000万円の支払を求める訴訟を提起するなどとする強硬な警告文書が出されたり(同資料8),その後も執拗に謝罪等の要求がなされたことから,財界展望社がそれ以上のトラブルを嫌ったため,経済ジャーナリストとして財界展望社との関係を考慮せざるを得ず,苦渋の決断の結果,上記謝罪に応じたという経過であることが認められる。 ク 以上のところを総合的に勘案すれば,本件ブログ記事に掲載された公認会計士脅迫事件については,いくつかの点で真実に反する部分がないわけではなく,正確性を重んじるべきジャーナリストの書いた記事として詰めの甘さを指摘されても致し方のないところもないわけではないが,記事の内容は公共性の強い事項に関連するものであり,しかも,その主要な内容や本質的な部分はほぼ真実であると認めることができるから,本件ブログ記事のうち公認会計士脅迫事件に関する部分については,違法性が阻却されるというべきである。 (3)公認会計士脅迫口止め事件関係 ア 次に,公認会計士脅迫口止め事件として問題にされている本件ブログ記事は,別紙3 「ブログ記事本文」の⑤ないし⑨に記載のとおりであって,そこで述べられているもののうち,原告両名に関する主要な内容は,原告増田が弁護士と共謀して,公認会計士脅迫事件に関する警察の捜査に対し,その実行犯であるHが原告増田の関与を否定するよう, Hの知人であるKに依頼したという事実(⑤及び⑥)である。 イ そして,後記の証拠によれば,公認会計士脅迫口止め事件については,以下の事実を認めることができる。 (ア) 原告増田は,平成14年12月ころまでに,前記の公認会計士脅迫事件につき,神奈川県警高津警察署から出頭を求められ,同署に任意出頭して事情を尋ねられたが,同事件への関与を否定した(甲24号証,乙25号証)。 (イ) 原告増田は,高津警察署で事情聴取を受けた後,平成15年1月から2月上旬にかけて,Kと電話で話をした際, 「Kさん,いい人だからね,いっぺん,その,うちの味方なんだからね」などと発言するとともに,公認会計士脅迫事件についても言及し,自分が高津警察署に呼ばれて事情聴取をされたことなどを話した(前記(2)オのとおり)。これに対し,Kは,Hが警察から原告増田がHの名前を出したと聞かされて怒っていることなどを原告増田に伝えたりした。このときの原告増田とKとの会話内容は,必ずしもその趣旨が明確ではないところも少なくないが,原告増田は,Kに対して,原告増田が信頼している佐藤弁護士に会ってくれるよう依頼するなどした(甲24号証,乙25号証)。 (ウ) Kは,平成15年2月7日,原告増田から依頼されていたこともあり,佐藤弁護士の事務所に訪ねて行った。その席で,佐藤弁護士からKに対して,Hがサンラ出版の株券(甲18号各証)を無断で発行し,Kに譲渡した分を返還するよう求められた。Kは,自分にも言い分があることを述べたが,佐藤弁護士から何度か大きな声で厳しく叱責されたり,そのようなことは口外しない方がいいですよなどと言われたりしたため,恫喝されたものと感じ,佐藤弁護士に対してサンラ出版の株券を返還することを約束した。この間,Kと佐藤弁護士との話は約2時間にも及び,公認会計士脅迫事件などについても話題になった(K証言)。 (エ) また,Kは,先後関係は必ずしも明確ではないものの,佐藤弁護士から電話で,原告増田は有名な人だから新聞沙汰なんかになったら困るので,Hの方は何とかならないのかという趣旨の話をされたため,公認会計士脅迫問題について原告増田の名前を出したりしないようKからHに対して説得するよう言われたものと理解した(K証言)。 (オ) Kは,このようなことを受けて,Hが高津警察署に出頭する前に,Hに対して電話をして,原告増田やその代理人である佐藤弁護士が公認会計士脅迫間題でHの口から原告増田の名前が出るのではないかと心配している,サンラ出版の株券問題や出資法違反の共犯問題等もあり,公認会計士脅迫事件について原告増田が関与したことについては,高津警察署では何も言わないようにと強く説得した(乙5, 28, 30号証,K証言)。 (カ) Hは,Kの説得を受け入れ 平成15年2月10日ころに高津警察署に出頭して,公認会計士脅迫事件について取調べを受けた際,自分の判断で公認会計士脅迫事件を実行したものであるとし,原告増田が同事件に関与したことについては,最後まで否認した。 ウ 上記認定の事実によれば,Kは,原告増田やその意を受けた佐藤弁護士から,公認会計士脅迫事件を実行したHに対して,警察での取調べ等の際に原告増田の名前を出さないよう強く説得するよう依頼されたものと理解し,その旨,Hを説得し,Hは,Kの説得を受け入れて,高津警察署での取調べ等において原告増田の関与を否定し続けたことが認められる。 したがって,本件ブログ記事⑤ないし⑨の事実は,ほぼ真実であると認めることができる。 エ これに対して,原告両名は,Hの証言書(乙30号証)はもとより,Kの陳述書(乙7, 28号証)や同人の証言は到底信用できないし,佐藤弁護士も,Kのいうことをただ聞いていただけで,Kに公認会計士脅迫事件についてHに口止めをするよう言ったことはないなどとして,これを否認しているので,この点について検討しておく。 (ア) まず,Hは,前記のとおり,平成13年9月ころまではサンラ出版の代表取締役として原告両名の広報関係を担当するなどしていたもの、の,独断でサンラ出版の新株を発行しようとしたり既発行の株式を売買しようとしたりしたため,原告増田らとの対立が深まり,同年9月には代表取締役を退任して,その後は自ら投資顧問業を営む会社(ブロードバンド)を設立したものの,同社の経営にも失敗し,平成15年2月ころには原告両名との関係は冷え切っていた。また,Kは,もともとHの友人で,原告増田とはHの紹介で知り合ったという間柄である上,その後,Hは,ブロードバンドの代表取締役をKの長男に譲り,K自身も同社の取締役であった(以上につき,乙5号証,甲16号証の1,K証言等)。 このような事情に照らし考えれば,Hは平成1 5年2月当時は原告増田に対して不満を抱いており,また,Kも原告増田に対して必ずしも好感情を抱いていたわけではないことが明らかであり,HやKの供述等をそのまま鵜呑みにすることは,一般的に相当ではないというべきである。 (イ) もっとも,原告両名の主張は,原告増田が問題の公認会計士脅迫事件に何ら関係していないということを前提としているものであるが,本件の客観的事情としては,前記認定のとおり,原告増田は,この公認会計士脅迫事件に関与してい